データが企業の生命線であるなら、帯域幅はこのデータが通過する血管の直径に相当します。このアナロジーは少し俗っぽく響くかもしれませんが、全身を巡る血管(様々な業務で使用する帯域幅)が閉塞してしまったり高圧になってしまったら大変なことになります。
もう少し比喩を続けると、オフィス全体の多数のマシンで Spotify プレイリストが開いていたら、それは、データのスムーズな流れを妨げるコレステロールの塊です。自由放任が主流の労働文化をやみくもに破壊することなく、帯域幅使用を効果的に管理して継続性を確保するためにはどうすればいいでしょうか。
ネットワーク計画においては、すべてのユーザーが担当業務を効果的に実施するために必要な帯域幅を決定することが不可欠です。
オーストラリアを拠点とする IT サポートサービス Wyntec のマネージングディレクターである Tom Freer 氏によると、インターネットであれ WAN であれ、どのようなアプリケーションがリンクされ使用されているかを把握することが IT 部門の重要な業務の1つです。「アプリケーションのタイプ、ビジネス要件、さらに重要なカスタマーエクスペリエンスについて把握できておらず、帯域幅が正しく割り当てられていないと、ビジネス上の問題が発生します。」と彼は話します。問題が従業員から顧客に及ぶと、満足度と収益に影響します。
ほとんどの場合、企業は十分な帯域幅容量を確保しています。少なくとも、ビジネス関連のすべての機能をスムーズに実行するのに十分な帯域幅容量はあるはずです。そして、火事の多くが人間の不注意に起因するように、帯域幅不足が生じるケースの多くには人的要因、人間の怠慢さや不誠実さなど、が絡んでいます。モバイルデータパッケージの設定上、割増料金が発生することが多くなると、従業員は会社の施設を無料の帯域幅とみなして、最新の猫のビデオやショー番組などを視ようとするかもしれません。
「オーディオ・ビデオコンテンツのストリーミングは、大量のデータを消費するだけでなく、(外部の顧客またはサプライヤの)リンクの利用にも影響を及ぼします。」と、Freer 氏は話します。IT 部門にできることはあるでしょうか?従業員に知らせることです。彼らが待ち時間にいらいらすることがあったとき、頭の片隅にでも他への悪影響のことが思い浮かぶなら、全くないよりはましです。
ネットワークがダウンしてしまった場合、IT 部門は速やかに根本原因を解明し、エンドユーザーのワークフローの中断を最小限に抑えて(理想的にはワークフローの中断なしで)復元する必要があります。ネットワークの反応が遅い場合も、解決策を見つける必要があります。それにはどうすればいいでしょうか?最先端のネットワーク監視ツールの、各ユーザーの帯域幅割り当てをコントロールする「パワー」を利用することで対処できる可能性があります。できない場合は、費用をかけて帯域幅を追加する必要がありますが、新しいビジネスに絶対に必要な場合を除いて、単純に帯域幅を追加するという対策は推奨できません。
「遅延問題があったために帯域幅を追加したとしても、ほとんどの場合、ネットワーク上で実際に生じている問題への根本的な対処にはなりません。」と Freer 氏は話します。
帯域幅容量が十分でないためにネットワークの速度が遅いという苦情が寄せられることはよくありますが、企業のネットワーク環境では、ビジネス機能を優先する必要があります。ビデオや音楽のストリーミングを頻繁に行っている社員がその行為に対して罰せられるようなことはないでしょうが、インターネットアクセスを制限されたり、ある程度のストリーミングを防止したりする追加規制の対象となったりする可能性は確かにあります。
実際には、「帯域幅の不足によって生ずる最大の問題は、スタッフの生産性が大幅に低下してそれがフラストレーションにつながり、最終的に収益性に影響を与えることです。帯域幅の不足は、帯域幅を社員への内部アプリケーションの配信に割り当てるのか、外部のビジネスクリティカルなアプリケーションへのアクセスに割り当てるのかという問題になります。」と、Freer 氏は指摘します。(どちらが優先されるべきかは歴然としていますが。)
企業の環境では、重要なのはビジネスに直結する機能です。自宅でより多くの帯域幅を持っている社員が多く、会社のネットワーク帯域幅を消費する社員はごく少数だとしても、クライアントのプロセスを満たすのに十分な帯域幅が必要なときに、社員に業務と無関係の帯域幅容量を提供する義務はありません。ダウンロードやストリーミングは明らかにビジネス機能ではなく、IT 担当者(この状況では疎ましがられる立場になってしまいますが)は、最終的な利益のためにワークフローの中断を防止する使用ポリシーを実施する必要があります。
帯域幅をビジネスに重要なアプリケーションに優先的に割り当てるようなポリシーを策定してネットワークの遅延やワークフローの中断を防止することができなければ、スタッフの生産性が低下し、タスクの完了に時間がかかります。これは、会社にとって不利益になり、コストも上昇します。特に、オンラインストアやサポート機能などの外部オンラインリンクでダウンタイムが発生することは極力阻止する必要があります。顧客は気まぐれであり、アプリケーションの応答が遅かったりアクセスできなかったりといったことがあれば、臨機応変に競合他社に切り替えてしまう可能性があります。
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