IT インフラストラクチャを、オンプレミスからパブリッククラウドに移行する場合は、どのプロバイダを利用するのがいいかを決めなければなりません。すでにクラウドを利用していても、新しいプラットフォームプロバイダへの変更をするべきかどうか、疑問に感じたら、考え直すのに遅過ぎるということはありません。
Gartner のレポートは、パブリッククラウド市場がまだまだ伸びていると報告しています。サービスとしてのインフラストラクチャ(infrastructure as a service、IaaS)の世界市場は、2017年の247億ドルから31%増加して、2018年に324億ドルに達しました。
どのクラウドプラットフォームプロバイダが自社のIT環境に最適かを検討する場合、まず候補に上るのはマーケットリーダーである、Amazon Web Services(AWS)と Microsoft Azure の2つでしょう。Gartner の上記レポートによると、Amazon Web Services は世界のパブリッククラウドインフラストラクチャ市場のほぼ半分(47.8%)を占めており、Microsoft Azure が15.5%でそれに続いています。
市場のトップリーダーを、トップだからという理由で選択する人もいれば、追い付こうとして精力的に努力し利用者のエクスペリエンスに敏感な2番目のリーダーの努力の方に魅力を感じる人もいます。しばらく前、両者を比較した、「Azure か、AWS か、どちらを選ぶ?」というブログを Michael O’dwyer が執筆し、Azure を推奨していますが、このブログでは、パート2として、AWS の利点を考察します。
2002年に最初に発売され、2006年に再発売された AWS は、市場参入の先駆者として、パブリッククラウドサービスの提供において最も長い経験を持っています。Microsoft が Azure を発表したのは2008年ですが、正式なサービス開始は2010年です。
AWS は、データセンターに継続的に多額の投資を行っています。UpGuard によると、AWS サーバーの容量は、AWS に続く12の競合他社を合わせたサーバー容量の約6倍とのことです。また、 SimpliLearn によると、AWS には、Azure の34(さらに4つが追加予定)に比べて、42(さらに8つが追加予定)のアベイラビリティゾーンがあります。
AWS のこのコンピューティング能力は、常に最新のテクノロジーを活用できることを保証します。また、AWS データセンターは、北米に多数存在しますが、戦略的に世界中に配置されています。つまり、世界中のどこからでもエンドユーザーと顧客を比較的近くのデータセンターに誘導することができ、遅延を最大限に削減できます。
eWeek も両者の比較記事を載せていますが、その中で Gartner の AWS に対する、「最も成熟したエンタープライズ対応(クラウドサービス)プロバイダであり、多数のユーザーとリソースを管理するための最も深い機能を備えています。」というコメントを引用しています。AWS のサービスは、さらに増大しています(今年までに165)が、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、データベース、分析、アプリケーションサービス、展開、管理、モバイル、開発者ツール、モノのインターネット用のツールなど、多岐にわたります。企業独自のデータセンターで行っていることはすべて AWS で行うことができる上、最新のテクノロジーを利用できます。
Azure よりも多くのデータセンターを配備している AWS のサービスは、地理的に分散したソフトウェアチームには特に有益です。開発サーバーを即座に起動し、より効率的にコラボレーションできるからです。API を介してアプリケーションで使用できる AWS の機能を使うことができ、スケーラブルで信頼性の高い安全なアプリケーションの作成に寄与します。そのため、開発者は、アプリケーション作成により集中できます。
プライマリ、バックアップ、アーカイブの各目的で使われるストレージも、AWS の強みです。AWS は、S3(Simple Storage Service)オブジェクトストレージを基軸とした、最も先進的で成熟したパブリッククラウドストレージサービスを特徴としており、これは最も長期にわたって(2006年以降運用中)稼働しています。AWS は、インスタンスの起動時に割り当てられ、終了時に破棄される一時ストレージも提供します。
AWS と Azure を比較する際、コストの話題を避けるわけにはいきませんが、Flexera の比較に示されているように、課金体系が異なり、値引きや料金変更も頻繁に行われるので、コストの観点からクラウドサービスを比較することは困難です。ただ、AWS には最も多くの支払いオプションがあり、前払いするほど節約できます。
以上、AWS の利点を挙げましたが、一般論にとらわれることなく、自社にとってはどのプロバイダが最適なのか、きちんと評価するプロセスを経ることが大切です。クラウドプラットフォームの選択の際も、技術プロジェクトの場合と同様、考慮すべきチェックポイントごとに検討してください。次のチェックリストは、高レベルのものであり、さらに詳細な分類が必要かもしれません。
チェックリストの項目を検討する際には、まず、内部リソースで処理したいものを確認してください。すべてにわたって、クラウドプロバイダが何を行い、何を行わないかを明確化しておく必要があります。たとえば、セキュリティに関しては、両者が責任を共有する必要があります。
また、クラウドの専門知識を持つサードパーティーのITソリューションプロバイダが必要だという結論が出る可能性もあります。社内の開発者やITサポート部門が、クラウド環境での作業の詳細に熟知していない場合は、よくあることです。社内の開発者やIT部門には、そのスキルを得意分野で活用してもらうようにし、クラウドについては外部パートナーに委託するというのは賢明な選択です。
最終的にどちらを選択したとしても、クラウド環境のパフォーマンスを監視することは必要です。クラウドサービスプロバイダが提供するクラウドリソースに関するレポートは全体像の一部にすぎません。
クラウド環境はインフラストラクチャ全体の一部であり、他の部分との関連を含めて管理されるべきです。WhatsUp Gold は、クラウドプロバイダが独自の API を使用して収集するすべての情報に関して、ステータスとパフォーマンスを監視、レポート、警告することができるとともに、そのデータをネットワーク全体のインフラストラクチャ・マップ、ダッシュボード、アラートセンターに統合します。WhatsUp Gold を使用すると、関連のあるすべてが可視化され、問題をドリルダウンして根本原因を速やかに解明することができます。
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