タイトルを見てこのブログを読もうと思った人は、クラウドソリューションに興味があるか、あるいはおそらくすでに利用している人だと思います。Azure と AWS(Amazon Web Services)はどちらも、様々な、サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)、サービスとしてのプラットフォーム(PaaS)、およびサービスとしてのソフトウェア(SaaS)を提供しています。 クラウド市場では AWS が先駆者として幅を利かせていますが、基本的には、類似したソリューションを比較してどちらかを選択する場合、ビジネスの要件とオンラインでのリサーチ、または直接の推薦などに基づいて検討します。このタイトルのブログを書くにあたって、ベンダーのWebサイト、好意的なレビュー、その他のやや偏りのある資料などを適当に再利用してお茶を濁すこともできますが、ここは私のいつものやり方で、私自身の偏見を前面に出して書き進めてみたいと思います。
これを書いている時点で、Microsoft と AWS は、同じプロジェクトに入札しています。正式には、米国防総省の米軍向けクラウドである Joint Enterprise Defense Infrastructure(JEDI)と呼ばれるプロジェクトで、非公式には戦争クラウドとして知られています。
AWS は連邦セキュリティ評価で、Microsoft よりも高い、機密情報をホストするために必要なレベル6の認定を受けています。Microsoft は追いつきつつあり、現在レベル5の認定を受け、レベル6は保留中です。Microsoft は何か失態を演じたでしょうか?ほとんどないと思います。一方、Amazon がスマートデバイスで顧客データをずさんに扱っている状況を考えると、私には、Amazon がプライバシーを託せる会社には思えません。さらに、Amazon が米国議会の下院司法委員会での証言を求められ、EU に規制違反で制裁金を科されているのに対し、Microsoft への追及は見られません。これらを踏まえて、顧客からの信用という観点から、信頼できる会社は Microsoft であると言わざるを得ません。好むと好まざるとにかかわらず、Microsoft は長年にわたって君臨するIT大手であり、その根本はeコマースではなく、オペレーティングシステム、ビジネスソフトウェア、および関連するソリューションにあります。
私が AWS と Azure との比較で Azure を選択するのは、Azure が Microsoft の製品だからです。多少手間がかかるという難点はありますが、Windows、Office、Skype、LinkedIn、Bing など、Microsoft の製品のどれかはたいていの人は使っていると思います。AWS はおそらく最初の主要なパブリッククラウドサービスプロバイダ(2006年)であり、最大の市場シェアを持っているかもしれませんが、Microsoftは支持を広げつつあります。Azure 選択の、そのほかの理由としては次のような点が挙げられます。
経費削減はどの企業にとっても大きな課題ですが、Azure は経費削減につながるいくつかの方法を提供しています。実際、コアのソフトウェアが Microsoft ベースであれば、Microsoft 以外のプロバイダを関与させるのは合理的ではありません。別プロバイダを通して Microsoft のソリューションに対する余分の支払いが発生してしまいます。
ソフトウェアのライセンス料も考慮しなくてはなりません。Azure の場合、既存のオンプレミスのライセンスがあればクラウドで無料で使用できます。また、エンタープライズライセンス契約者は、割引価格で Azure を使用できます。Azure のコスト見積もりには、この料金計算ツールを使用します。AWSのコスト見積もりは、 ここで行うことができます。
両社の料金計算ツールを比較すると、Azure の方がユーザーフレンドリーであることがわかります。サービスの管理と設定についても同じことが言えます。AWS ではより多くのサービスを利用できますが、なじみのないプロセスや製品/機能名(たとえば、Amazon Glacier と Azure の “Data Storage” ではどちらがわかりやすいですか?)が使用されているので、チュートリアルが必要で、トラブルシューティングは技術的な経験を積んだ人でないと困難です。Amazon が割り当てたサービス名の長いリストを覚える時間がある人がどれほどいるでしょうか?セキュリティ、開発者ツール、アナリティクスなど、理解しやすいカテゴリに分類された Azureの製品をチェックする方がずっとスムーズです。
Microsoft が提供する Azure は、既存のソリューションで使われている信頼できるテクノロジをクラウド使用に目的を合わせた上で再利用しています。私の考えでは、AWS プラットフォームを費用対効果の高い方法で使用するには特別なトレーニングを実施するか、または特定のスキルを持つ人を採用する必要があります。Azure を使用する場合は、たとえば Active Directory に精通しているシステム管理者なら必要なスキルはすでに持っているはずです。
AWS がハイブリッドクラウドやプライベートクラウドに弱いことは一般的に知られており、ユーザーが100% AWS クラウドを採用するように仕向けているようにもとれます。これは、自社のビジネス運営をサードパーティーに依存することになり、推奨できません。インフラストラクチャに冗長性を含ませることは、常により良い手法です。あるソリューションが動作しなかったら、別のソリューションに切り替えられるのが理想です。Azure は、VPN、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)、 ExpressRoute 接続など、データセンターをクラウドに接続するための完全なハイブリッド機能を提供します。
クラウドに移行するとき、マイグレーション問題は避けて通れません。Azure では、すべての .NET開発アプリケーションはシームレスに移行できます。他のプロバイダとは異なり、Windows アプリケーションをクラウドに移行するのは簡単です。
私の判断では、クラウドに移行する必要がある場合に、検討する価値があるのは Azure です。Microsoft は、テストするための無料トライアル版を用意しており、また無料のソリューションもたくさんあります。AWS も、有料プランにコミットする前の 無料利用枠を提供しています。
私自身の偏見を交えずに述べるなら、両社は世界クラスのソリューションを提供しており、クラウド市場の第1位と第2位です。ここで言及したのは、網羅的なリストではなく、単に Azure の方が「優れている」と思われる点を抽出したものである点はご承知おきください。自社のビジネス要件とよく照らし合わせて、最も適切なものを選択するべきです。Microsoft のソリューションを選択しない場合、別の選択肢は AWS です。両方の無料プランをを試してはいけないという理由はありません。複数のクラウドプロバイダを利用することが本当の答えかどうかという議論もあるかもしれません。一つ重要なのは、どのクラウドプロバイダを選択するとしても、サービスへの実際の課金額は予測が困難であり、思いがけない請求額にとまどうことがないよう、有料プランに移行したら クラウド利用を注意深く監視することが大切だという点です。幸運を祈っています。
Get our latest blog posts delivered in a weekly email.