ネットワークインフラストラクチャのエンドツーエンドの可視性

2021年3月、米国サイバー軍司令官のポール・ナカソネ陸軍大将は、米国上院でサイバー攻撃に関する重要な課題について証言し、「点と点を結びつけることができないということではありません、我々にはすべての点を見ることができないのです。」と述べました。

米国サイバー軍でも、他の様々な組織と同様、ネットワークの可視性が十分でないという問題を抱えていました。ネットワークインフラストラクチャの可視性が十分でないということは、走っている道路に霧がかかっていて、向かってくる人や車がよく見えないようなものかもしれません。組織がハイブリッド環境を採用し、ますます多くのエンドポイントが追加され、クラウドを使用してデータを保存するのが一般的になってくるにつれて、ネットワークはますます複雑になってきて、霧はどんどん深くなります。

この複雑さに対峙するには、完全なネットワーク可視化機能、エンドツーエンドの可視性を備えたソリューションが必要です。エンドツーエンドの可視性とは、インフラストラクチャ、デバイス、アプリケーション、サービスを含め、すべてに関するデータが確認でき、分析できることです。エンドツーエンドの可視性はデジタル環境の全体像を提供し、エンドユーザーのデジタルエクスペリエンスとテクノロジーとがどのように相互作用しているのかも解明できます。

サーバー、ネットワーク、ストレージ、アプリケーションの仮想化への移行は、エンドツーエンドの可視性の実現を困難にします。一方、ネットワークに接続されるデバイスの数は爆発的に増加し続けており、こうした状況を踏まえると、個別の監視ツールを局所的に使うのではなく、一カ所からすべてを見渡せる統合されたソリューションを採用する方が合理的です。

状況把握とセキュリティに欠かせないエンドツーエンドの可視性

ネットワークの可視性で、ネットワーク内のコンポーネントの稼働状況や相互関係を把握して、分析することができます。

  • ネットワークパフォーマンス
  • Web およびデータトラフィック
  • ビッグデータ分析
  • アプリケーション
  • 管理対象リソース

昨今の複雑なネットワーク環境において、データセンターとクラウド展開との接続や、ハイブリッドまたはリモートワーク環境での継続的な接続の確保など、インフラストラクチャ監視に関連する課題は増えています。

サイバー犯罪は衰える兆しがないどころか、ますます高度化し頻発しています。IBMは、2022年のデータ侵害のコストレポートで、調査対象の組織の83%が何らかのデータ侵害を経験していることを明らかにしました。ほとんどのデータ侵害は未知の脆弱性または盲点によって引き起こされ、これらは悪意のある者にとってシステムへの理想的な入り口となります。エンドツーエンドの可視性により、不審なアクティビティの詳細がわかれば、行動を開始でき、サイバーセキュリティの強化につながります。

また、エンドツーエンドの可視性は、管理者がネットワークの設定を検証するのに役立ちます。ネットワークの問題がビジネス上重要なアプリケーションの稼働状況に影響を与え始めているのかどうかは、ネットワークが可視化されていてわかることであり、優れた可視化情報が迅速なトラブルシューティングに貢献します。TechTarget の記事は、「アプリケーションがビジネスクリティカルである場合、サービス品質やトラフィックのポリシングとシェーピングなどの設定手法を使用して、重要なデータの流れを最適化できます。可視化することで、パフォーマンスが向上し始めたのか、さらに調整が必要なのかも確認できます。」と記述しています。

エンドツーエンド可視化機能があるソリューションを使用すると、トラフィックを監視できます。ソリューションが発信する応答時間の遅延などの警告もネットワーク状況の可視化と捉えることができます。これらのアラートを受け取ったら、何が根本原因なのかを解明し解決するためのアクションにとりかかることができます。

そのような IT インフラストラクチャ監視ソリューションを使用する場合、次のようなポイントを心得ておくことは重要です。

  • 早期に開始: コンポーネントの依存関係を含むエンドツーエンド可視化情報は、優先事項として少しでも早く把握するべきです。問題があるのかないのか、問題が発生したら対処にどれぐらいかかるのか、など、可視化情報がネットワーク管理の基盤になります。
  • 自動レポートの設定: 問題が発生したとき、自動的に担当管理者に警告するよう設定しておくことで、深刻な停止問題に陥る前にトラブルシューティングできます。
  • 必ずテスト: 自動化ツールが期待どおりに機能するかどうか、必ず事前にテストしてください。自動化できるものはできるだけ自動化するよう心がけてください。

WhatsUp Gold によるエンドツーエンド可視化

プログレスの IT インフラストラクチャ監視ソリューションである WhatsUp Gold は、デバイスやアプリケーションからサーバー (クラウドとオンプレミスの両方) に至るすべてのネットワーク資産のステータスと全体的なパフォーマンスを追跡し、レポートを作成して、関係者に警告通知を行います。有線、無線、仮想環境を含む、ネットワークの全体像を正確に把握できます。

詳細なエンドツーエンドのネットワーク可視性が得られ、アプリケーションがネットワークのパフォーマンスにどのように影響しているか、といったことが解明できます。統合製品のネットワークトラフィック分析を使えば、負荷がピークの時に実行されているバックアップやファイル転送タスクを検出したり、ストリーミングやゲームのような帯域を大量に消費しているアプリケーションを追跡したりすることも可能です。 アプリケーションパフォーマンス監視のダッシュボードから、速やかに問題の根本原因を解明できます。可視化機能には履歴情報も含まれ、履歴ステータスレポートで、一定期間にわたるアプリケーションのパフォーマンスを分析し、メモリリークや URI キャッシュの失敗などの、断続的で診断が困難なパフォーマンス問題を解明することもできます。問題の兆候が検出された時点で適切な担当者に警告通知を送信することができ、問題が顕在化する前にトラブルシューティングに取り掛かることができます。

ネットワークが複雑化し、深くなった霧の中で暗中模索する不安から脱出するには、エンドツーエンドのネットワーク可視化ソリューションを使用するのが最善です。

WhatsUp Gold は、無料で試用することができます。試用版をダウンロードして、お試しください。


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