情報技術には様々な役割があります。企業が機能し続けるためのバックボーンであり、企業ネットワークと企業情報の最初の防衛線であり、そして、もちろんユーザーのサポートを行う役割も担います。ですが、会社全体から IT 部門を評価する際に何が一番重視されるかというと、エンドユーザーがシステムを使ってどういうエクスペリエンスを実感するかという点に集約されます。

IT 部門が担当する業務は、Active Directory の管理から、マシンのイメージング、サーバーの監視、アプリケーションのデプロイメント、プロジェクトの管理、ハードウェアの修理まで、本当に様々です。ですが、もし、エンドユーザーがシステムを効率的かつ効果的に、そして快適に使えていなかったとしたら、IT 部門の細かな業務がうまく管理されているどうかは重要でしょうか?当然、ユーザーのエクスペリエンスが優先されます。IT 部門は達成目標と評価方法を検討し直す必要があります。稼働時間や帯域幅などの技術的な考慮事項に加えて、最終的には IT 部門の顧客に相当するエンドユーザーのエクスペリエンスを何らかの形で測定する必要があります。

では、どのようにすればエンドユーザーのデジタルエクスペリエンスを測定できるのでしょうか。このブログでは、IT 部門がエンドユーザーのデジタルエクスペリエンスを測定するために使用できるテクニックとツールを紹介します。

デバイス使用率の測定

多くの企業では通常、業務のためにエンドユーザーにハードウェアを提供します。そうでない場合は、BYOD ポリシーを策定して個人デバイスの使用を許可し、個人デバイスから使用できるアプリケーションや仮想化 OS を提供します。したがって、CPU/メモリ/ディスクの使用率、アプリケーションの使用率、セキュリティ、ネットワークトラフィックなど、OS やアプリケーション関連のパフォーマンスを測定するプラットフォームを使用することが重要です。

そのプラットフォームとなり得るのが、WhatsUp Gold などのネットワーク監視ツールです。デバイスのパフォーマンスやデバイス間のレイテンシもリアルタイムで測定できるものを選択してください。さらに、 ログ管理ツールを使用してデータをキャプチャし、統合されたデータウェアハウスを構築することも考えられます。格納されたデータから、マシン単位だけでなく企業全体で何が起こっているかについての分析を行うことができます。

エンドユーザーのフィードバック

客観的な数値として測定できない重要なエンドユーザーエクスペリエンスは、人間の感覚的、感情的な側面です。デバイスが完全に機能しているように見えるからと言って、そのエンドユーザーが満足していると結論付けてしまっていいとは限りません。コンピュータは複雑です。コンピュータに生じている問題をデータとして取得することは、不可能とは言い切れないとしても非常に困難な場合があります。たとえば、エンドユーザーのログオン時に、ネットワークドライブがマップされているはずなのに、突然消えてしまったとします。これは、パフォーマンス監視では検出できず、ログ記録にも見つからない可能性があります。そういった場合に考慮すべきなのは、エンドユーザーからのフィードバックです。

エンドユーザーからのフィードバックは、IT 部門では認識していなかった、別の視点からのエンドユーザーエクスペリエンスの評価基準を提供する可能性があります。見逃してしまいがちな、ユーザーが抱えている問題を発見するには、ユーザーに対して定期的にサーベイを行い、積極的にフィードバックしてもらうようにすることが重要です。

UX スコア

ネットワーク監視ツールやログ管理ツール、そしてユーザー調査からのデータが集まったとして、それらを有効に利用するにはどうすればいいでしょうか?どうすれば明瞭で、理解しやすく、何よりも実用的なものにまとめることができるでしょうか?全体のユーザーエクスペリエンスは、どのように比較すればいいのでしょうか?

これらの問いに対する答えになり得るのが、UX (User experience) スコアです。UX スコアは全体を統括する1つの指標と考えることができ、ユーザーがどの程度満足できているかを数値化したものです。企業ごとに置かれている状況が異なるので、パフォーマンス測定値、エラー測定値、稼働時間測定値、ユーザーフィードバックなど、様々な要因を考慮し、どのように組み合わせて重み付けをすれば自社に最適な UX スコアリングができるのかを熟考する必要があります。おそらく一度でスムーズに行くことはないので、試行錯誤が必要になるでしょうが、UX スコアリングを決定するシステムが整ったら、他の重要な IT メトリクスと同じように、ネットワーク上のユーザーエクスペリエンスのベースラインを把握し、それを改善するための取り組みを開始することができます。

先鋭的な企業は、デジタルエクスペリエンスの測定が、コンピュータがどう効果的に機能し社員の業務遂行に役立っているのかを理解するために現在考えられる最良の方法だと認識し始めており、デジタルエクスペリエンスの測定が注目されています。IT 部門でどう業務を管理していくかを検討するための伝統的手法ではありませんが、IT 部門がエンドユーザーをどれほど適切に支援できているかを判断するための重要な手法であり、究極的には今後も引き続き使われる手段だと思われます。

Tags