ネットワークインフラストラクチャ用の追加ソフトウェアを探そうとすると、選択肢が多過ぎて辟易することがありますが、サーバー監視ツールに関しても多くの選択肢があります。どの組織にも独自のニーズ、個別のインフラストラクチャおよびソフトウェア要件があり、自社にとって最適なものを選択することが重要になります。このブログを、それぞれの組織が最適なサーバー監視ツールを選択するのに役立つガイドとしてご参照いただければ幸いです。
サーバー監視ツールを利用するメリット
サーバー監視ツールを導入することで、次のようなメリットが得られます。
- サーバーの可用性維持： サーバー監視ツールを利用することでサーバーを稼働状態に保って、エンドユーザーが問題なくアクセスできるようにし、潜在的なリスクや損失を防ぐことができます。
- サーバーの速やかな応答性の維持： サーバー監視ツールで応答時間を測定できるので、満足できる速さで対応できるようコントロールできます。
- 問題があった場合に警告を受信： 監視することによって、発生しつつある問題や停止につながる潜在的な問題を検出でき、警告通知を受信できるよう設定できます。
- インフラストラクチャの正確で包括的なビューを獲得： サーバー監視によってシステムの概要が把握でき、サーバーに影響を与える可能性のある問題をプロアクティブに検出して対処できます。
- 履歴データから戦略立案： 監視ツールが提供する履歴データを使用することで、サーバーのコンポーネントが突発的に障害を起こしたのか、それとも一定期間にわたってゆっくりと誤動作していたのかがわかり、どうすればいいかについて的確に判断して準備できます。
- 容量計画： システムリソースの使用量の変遷を確認し、容量超過が問題になる前に容量増加が必要かどうか、計画的に準備することができます。
最適なサーバー監視ソリューションへのガイド
すべてのサーバー監視ツールの包括的なリストを作成することはできませんが、インフラストラクチャ、直感的なインタフェース、エラー検出機能、全体的な費用対効果、そしてそのツール固有の機能、などの観点から筆者が目ぼしいものと判断したサーバー監視ツールを列挙して短い説明を加えます。
オープンソースのサーバー監視ツール
Naogis
Nagios は20年以上の歴史を持つ、よく整備された Web サーバーやアプリケーションなどの監視ツールです。いくつかのサードパーティープラグインと互換性があり、特定のユースケースに合わせてカスタマイズできます。
含まれる機能:
- IT インフラストラクチャとサーバーのパフォーマンス監視をサポート
- 初期設定にカスタマイズ可能なスクリプトを追加可能
長所: 複数のデバイスとサーバーを監視し、無料のプラグインとアドオンをサポートし、ユーザーに通知および警告できる。
短所: インタラクティブなダッシュボードとセットアップウィザードは Nagios の有料版でのみ利用可能であり、設定は直感的でなく、インタフェースが紛らわしい。
Netdata
Windows や Linux (様々な IoT デバイスは言うまでもなく) と互換性がある Netdata を使用すると、ユーザーはサーバーをリアルタイムで監視できます。また、速度低下のトラブルシューティングを支援し、サーバー、データベース、およびアプリケーションのアクティビティに関する情報を提供します。
含まれる機能:
- デバイス、サーバー、アプリケーションを含む IT インフラストラクチャ全体の監視
- リアルタイムデータの提供
長所: 迅速かつ簡単なトラブルシューティング、OSに依存せず、複数のサーバー、コンテナ、IoT デバイスと互換性がある。
短所: ダッシュボードは読み取り専用で、複数のサーバー監視には機能上の問題があり、完全なサーバー監視の履歴にはアクセスできない。
OpenNMS
OpenNMS は、様々な電子メールクライアントをサポートする電子メールサーバーの監視用に設計され、完全に Java で書かれています。ステータスやデータをより効果的に追跡できる IP ネットワーク監視とそのイベント駆動型アーキテクチャを含む便利なツールです。
含まれる機能:
- あらゆるサイズのサーバーとネットワークを監視および管理
- 統一インタフェースでノードの状態を追跡
- 監視が容易な IP ネットワークサービス
長所: 複数のアラートシステムと簡単に統合でき、スクリーン監視をサポート。
短所: 複数のデバイスに接続するとレポートの生成が遅くなり、インタフェースは使いづらく、開発と保守に十分なリソースがない。
Prometheus
Kubernetes ベースの環境を持つ組織にとって、 Prometheus は妥当な選択かもしれません。このクラウドネイティブのサーバー監視ソリューションは、セットアップが簡単な組み込みツールセットの中に効果的なリアルタイムデータ収集および分析機能を備えています。
含まれる機能:
- グラフや表を作成できるネットワーク監視ツール
- クラウドに展開可能
- 時間データ機能で、Kubernetes クラスターに関するメトリクスを収集可能
長所: 便利なデータ視覚化、独立したサーバーノードをサポート、効率的なデータストレージ。クラウドベースのインフラストラクチャに適する。
短所: インストールプロセスが複雑で、サードパーティーのツールを介してしか商用サポートを受けられない。
Zabbix
Zabbix は、ネットワーク、クラウド、アプリケーションの監視機能を備えた堅牢なサーバー監視ソリューションです。設定が簡単で、データ処理のための集中システムを備えているため、優れた選択肢となります。
含まれる機能:
- 自動検出とユーザーへのプロアクティブなアラートをサポート
- 視覚化データを簡単に作成可能
長所: 視覚化のための使いやすいグラフィカルインタフェース。集中システムでデータ保存。セットアップと設定が迅速に行える。
短所: サーバーを24時間監視するには、エージェントを実行する必要がある。
エンタープライズレベルのサーバー監視ツール
AppDynamics
AppDynamics は、サーバーのパフォーマンスとアプリケーションを監視して詳細情報を IT 部門に提供する可観測性プラットフォームです。IT 部門は、関連するサーバーとアプリケーションのメトリクスを獲得してビジネスに影響を与える可能性のあるアプリケーションサーバーのパフォーマンスの問題を特定できます。
含まれる機能:
- アプリケーションサーバーのパフォーマンス問題を迅速に特定可能
- あるタイプのアラートと通知をサポート
長所: 効率的なアラート機能、容量のリミットを早期に検出して適切な容量計画が可能。
短所: より高度なサーバー監視機能を習得するのに非常に時間がかかり、新規参入者向けのチュートリアルが不親切。セルフホストバージョンがない (このブログの執筆時点において)。
Datadog
Datadog は、サーバーログの検出とトレースに関連する相関メトリクスの統一されたビューを提供するサーバー監視ソフトウェアです。これは、サーバーのパフォーマンス問題をデバッグするときに便利な機能です。例えば、アプリケーションデータとともにサーバーメトリクスを監視する Datadog の機能を利用して、遅延の原因を解明することができます。
含まれる機能:
- インフラストラクチャ、アプリ、ネットワーク、ネットワークログのサーバー監視システム
- Datadog がどのシステムまたはネットワークにデプロイされているかを示す単一のビューを提供
- ダッシュボードは、システムの稼働状況とパフォーマンスを明確に表示
長所: 速度低下やシステムラグの隠れた原因を明らかにし、迅速かつ効率的な異常検出が可能。カスタムメトリクスとカスタム Datadog 統合を作成可能。
短所: JSON ログ処理がサポートされておらず、ログ分析に制限がある。新しいユーザーには複雑または扱いにくい可能性がある。セルフホストバージョンがない (このブログの執筆時点において)。
Dynatrace
設定が簡単な Dynatrace は、ユーザーに詳細なダッシュボードを提供します。Dynatrace がデプロイされ、インフラストラクチャのサーバーを監視すると、サーバーの CPU、一般的なネットワークの稼働状況、メモリに関する詳細情報がダッシュボードに表示されます。サーバーログなどの他のメトリクスも追跡できます。
含まれる機能:
- インフラストラクチャ、アプリケーションパフォーマンス、クラウドなどに対応するオールインワンの堅牢な監視プラットフォーム
- サーバーのネットワークの状態を詳細なレベルで監視
長所: クラウドとオンプレミスの両方で利用でき、エラー検出機能には AI を利用。
短所: 堅牢なダッシュボード機能がなく、初めてのユーザーには緻密なトレーニングが必要。
LogicMonitor
LogicMonitor は、オンプレミスサーバーと仮想サーバーの稼働状況とパフォーマンスを監視するのを支援します。サーバーに IP アドレスを入力するだけでセットアップできます。CPU 使用率を含む様々なメトリクスに関して、自動的に検出、監視、および警告します。
含まれる機能:
- ネットワーク運用部門や個々の担当者用に、ダッシュボードをパーソナライズして保存可能
- データベース、使用状況、システム負荷、アプリケーションのパフォーマンスに関する詳細を提供
- オンプレミスまたはクラウドにデプロイ可能
長所: ハイブリッドクラウド環境で資産を監視でき、リソースを最適化するために追加のサーバー監視ツールを利用する必要がない。
短所: 2週間の無料トライアルのみで、無料版ではオプションが限定的。
Sematext
Sematext は、一か所から複数のサーバー特性に関する詳細情報を提供します。このサーバー監視ソフトウェアは、CPU、メモリ、ディスク使用量、ネットワーク負荷など、必要なすべてのサーバー関連のメトリクスを収集します。IT インフラストラクチャ全体、サーバープロセス、システムパッケージ、バージョン、インストールとアンインストールなどの概要を簡単に確認できます。
含まれる機能:
- 事前にカスタマイズされたダッシュボードを最初に展開可能
- ログ集約と GUI ベースのメトリクスの設定が簡単
- IT インフラストラクチャ全体で異常検出とアラートを利用可能
長所: 複数の統合 (Kubernetes、クラウドプロバイダーなど) に対するサードパーティーのサポート。アプリケーションのパフォーマンスとログ分析の間の相関指標を作成。システムメトリクスのみの監視に限定されない。
短所: 古いバージョンのドキュメントが不足。特定の Sematext 統合ではカスタムメトリクスを送信できず、トランザクショントレースもあまりサポートされていない。
理想的なサーバー監視ソリューションの有力候補：プログレスの WhatsUp Gold
ソフトウェアを選択する際には、常に綿密な事前調査を行う必要があり、サーバー監視ソフトウェアも例外ではありません。
プログレスの WhatsUp Gold は、全社規模の IT 部門向けの完全なインフラストラクチャ監視ソリューションであり、そのコア機能の1つはサーバー監視機能です。サーバー監視ツールの導入を検討されているなら、有力な選択肢だと考えられます。
WhatsUp Gold の包括的なレイヤ 2/3 検出ツールは、ネットワークをスキャンしながら、ルーティングプロトコルとテーブルから学習してアーキテクチャを理解します。WhatsUp Gold は統合された単一ソリューションであり、それぞれが独自の異なるメトリクスを報告する複数のソリューションに依存することなく、サーバーを含め、ネットワーク全体をわかりやすく正確に視覚化します。ネットワークマップは直感的にわかりやすく、どこからでも簡単にドリルダウンできます。カスタマイズ可能な使いやすいダッシュボードから、ネットワーク資産、パフォーマンス、ステータスなどに関するレポートを作成できます。サーバーやアプリケーションに関する問題があればプロアクティブに警告通知を行うことも可能です。
WhatsUp Gold の導入事例
WhatsUp Gold を導入してサーバー監視を行っているハティスバーグ・クリニックの事例をご紹介します。このクリニックはミシシッピ州南部で最大のクリニックの1つであり、州の19の郡、50万人以上のミシシッピ州住民に対して様々な健康上の問題への対処を行っています。診療行為が最優先されるため、膨大なネットワークに問題が生じて時間を取られることは最も避けたい事態ですが、ネットワーク上で何が起こっているのか、サーバーがどのようなパフォーマンスで機能しているかを正確に把握することができず、ネットワーク監視ツールの導入を検討しました。
ハティスバーグ・クリニックの情報技術担当ディレクターである Chuck Holcomb 氏は、WhatsUp Gold を導入し、いい選択だったと満足しています。WhatsUp Gold の導入は最初からスムーズでした。「インストールとセットアップは簡単でした。何年にもわたって多くのアップグレードを行ってきましたが、すべてシームレスに実施できました。デバイス追加の手順などは特に変わっていません。複雑過ぎないのが、素晴らしいところの 1 つです。」と Holcomb 氏は説明します。
「WhatsUp Gold は、ほぼすべてを監視します。私たちは、サーバー、ネットワーク機器、スイッチ、アクセスポイント、ルーター、VPN、ファイアウォールをすべて監視しています。すべての UPS も監視しています。最近、新しいタイムレコーダーを導入し、新しい人事システムに移行しました。タイムレコーダーの時計が動いていないという問い合わせが多数あったので、タイムレコーダーも WhatsUp Gold で監視することにしました。これでタイムレコーダーが稼働しているかどうかもわかります。」
組織に適したサーバー監視ツール
サーバー監視ツールを選択する際の IT ニーズは、組織ごとに異なります。WhatsUp Gold に関して何かご質問がある場合は、お問い合わせください。